まとめて書籍レビュー

人生論

「金があれば何でも買える」という発言で資本主義に脳を灼かれた人のように扱われていたが、そんなことはなかった。頭が良ければいくらでも人生を楽しむことができる。たった1度の人生、奴隷になるのではなくやりたい事をやって楽しもうというスタンスを小難しい言葉や理論無しにストレートに伝えてくる。

能力は違えど、やりたい事をやるという我侭さはどうやら自分と似ているところがあるようだ。
5章 教育論での一節は自分が書いたのかと見間違えた。

何かにつけ、先生から「おまえは協調性がない」と言われ、「本当に僕が悪いのかな」と思うこともあった。
しかし、「僕は自分が思うようにした方が気持ちいいから、生き方として曲げるつもりはない」と思い直し、それなりに周囲と折り合いをつけてやってきた。
とても窮屈だった。

哲学とか諺とかそういったものが一切無い人生論。
ただ、身の上の語りが多すぎて人生論というには名前負けしてる感じがする。

堀江貴文 人生論

堀江貴文 人生論

限りなく透明に近いブルー

ドラッグ、暴力、セックス。
これらで満たされた若者の日常を描いているのだが、どこか空虚。
ドラッグにまみれた主人公の肉体といつも奇妙な静かさを持って自分を見つめる心の距離が哀しさを漂わせている。

はたから見たらまともに労働せずドラッグやセックスに明け暮れる若者は気楽に見えるが実際はそんなことは無いということを描いているのだが、レベルは違えど似たようなことは考えていた。自分の周りにいる、雲の上の人みたいな高学歴の人達から見たら俺たちは気楽に生きているように思ってるのかなって。自業自得だってことは知っているけど、どこかしらに気楽になれない閉塞感みたいなものはいつも感じてた気がする。その感覚は本書の若者と少しだけ似ているところがある。
勉強の苦しみから逃れて麻雀や酒をやっていても、暴力とドラッグとセックスに明け暮れていても、お気楽な生活は手に入らなくて結局はみんな同じように閉塞感や焦燥感に囚われてしまうわけだ。


このタイトル、内容の割にはやけに綺麗なタイトルだと思ってよく読んでみたのだけど、途中までは「限りなく透明に近いブルー」は主人公が遭遇した雷のことだと思ってた。でも、そうじゃなくて、限りなく透明に近いブルーってのは、・・・。

限りなく透明に近いブルー (講談社文庫 む 3-1)

限りなく透明に近いブルー (講談社文庫 む 3-1)

ピアレビュー

「ピアレビューは軽視されすぎている」から始まるこの本は、どれほどレビューが重要であるか、どれほどレビューが低コストでバグを改修出来るかを説いている。
たしかに、この本を読むまでレビューを軽視していた。
しかし本書を読んでからでは自分のレビューのミスがどれだけ大きな無駄なコストを産むかよくわかった。

レビューと一言で言っても何をレビューするのか?それを明確にしなければより良いレビューは行えない。レビューには教育レビュー、マネジメントレビュー、ピアレビュー、プロジェクト終了後レビュー、ステータスレビューなどいくつもの種類がある。またレビュー対象はさらに細かく分岐する。ソースコードのレビューする場合、高い品質を得るためにレビューする箇所は、保守性、堅牢性、信頼性、効率性、再利用性、完全性、拡張性。なんと多いこと。


本書の良いところは単にレビューする箇所をリストアップするだけではなく、レビュー一連の流れに必要なプロセスを細かく記載しているところだ。例えばレビューをするには準備が必要であり、結果を突き合わせ、分析をする。各プロセスの中でいかにして良い品質を生み出すか、その汎用的な手法を記している。逆にいえば具体的な実際のレビューの例はほとんど無いので本書が即役に立つかと言うとそうではない。

レビューをしないことや質の悪いレビューがどれだけ無駄なコストを産んでいるか、プログラマは知らなければならない。

ピアレビュー―高品質ソフトウェア開発のために

ピアレビュー―高品質ソフトウェア開発のために