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書評:刑務所なう。

刑務所暮らしも案外悪くないのかな、とすら思えた。


本書の注目すべき点は、刑務所の中での生活ということだけではない。むしろそれはあくまで舞台でしかなく、役者はホリエモンそのものだ。獄中にいながらも圧倒的な思考力を以って前向きに生きるその姿は、常人を圧倒する。思考が桁違いに自由な彼を眺めた後ふと我に返るとこう思う。自分は、自由だろうか?

獄中ながらも衰えないその頭脳。そして前向きな姿勢をもたらす思考。政府やメディアの大物が寄ってたかってホリエモンを悪者にして彼に手錠をかけても、彼の心にまでは手錠をかけられなかったのだと嬉しさすら覚える。100億円を動かし、六本木ヒルズに住み、世界各国の美食を味わったような彼がムショで老人受刑者の介護とは、これ以上無いくらいの没落ではないか。それでも後ろを振り返らない。「シャバに出たい」とは言うものの、六本木ヒルズに住んでた頃に戻りたいとは一言も出なかったし、一番欲しいものには「仕事」と答えたくらいだ。

まだまだ世間一般では金にまみれた拝金主義者や犯罪者といったイメージがまかり通ってるように思えるが、何冊か彼の著書を読んだ自分のホリエモンに対するイメージは、「ピュアな人」。ビジネスや食やロケット開発に関してここまで軸がぶれずに邁進できるとは、たとえ煩悩が混じっていようとも純粋さがなければできないだろう。ロケットのようにただ突き進む彼が、将来どうなるものか、楽しみでならない。

もちろん、獄中生活そのものもなかなか見どころである。やっぱり理不尽で理屈が通る場ではないし、どんなにホリエモンが将来を夢見て生きていても「懲役」と言えるだけのつらい生活だろうと思う。とは言え、制汗剤も自費で買えるのかとか、結構映画見れるんだなとか、エロ本も差し入れOKだったのか等など、仮にホリエモンに興味が無くとも好奇心を満たせるだけの情報量は持っている。ホリエモンがあえて細かくムショのダークな点を書かなかったのか、書けなかったのかは不明であるが、少なくとも本書を読んだ限りでは「刑務所暮らしも案外悪くないのかな」と思えた。

最後にこう思う。死なないで欲しい。ジョブズが亡き後、「ジョブズが後10年生きながらえていたら、また世界を変えるような発明を見ることができたかもしれない」と誰もが思ったことと同じことをホリエモンにも想う。彼が寿命を全うするまで全力でエネルギーを正の方向に向けてくれたなら、宇宙がもっと身近になるのでは、と。きっとなるに違いない。