ライ麦畑でつかまえて

高校の頃にも読んだのだけれど、あれから6年を経て読んでみた。
あの頃は特に面白さを感じなかったけど、今になってようやくわかった。この本の魅力が。


この本を今更読むきっかけになったのは、最近子どもっぽいと言われることが増えてきたので。子供というか少年の心を表したこの本を読んでみることにした。

少年の心をうまく描写していることで有名なだけあって、共感があった。俺と主人公が似てるって何度思ったか。
インチキな野郎が嫌いで、集団の中で打ち解けることができなかったり、友人達と親しいつもりでもうまく行かなかったり、たまに恩師に連絡取ってみたくなったり、世の中がクソッタレに思えるところなんかそっくりだよ。きっと他の人も同じように共感するんじゃないかね。それがこの本の魅力だと思う。


本来なら大人子供関係なくインチキな野郎は嫌いなはずなんだけど、いつの間にか忘れてるんだよねみんな。
ほんと、いつの間にか、色々忘れて大人の仮面かぶるようになるんだよ。俺が子供って言われたときにむかついた理由がわかった。あいつら大人のふりしてるからだ。
大人のふりして心が硬直して、誰にも縛られず自由でいたいということすら忘れてしまう人が多いから世の中クソッタレに見えてしまうのかね。それはまた違う負のエネルギーが世の中のどこかにあるのかな。


インチキ野郎は嫌いだったはずなのに忘れてしまうのは、干渉しなくなるからだと思うのだよね。20数年生きてたら子供のころの元気がなくなって、他人が何か嫌なことしててもただ干渉を避けてエネルギーを無駄に消費しないようにしてるからだと思う。いや、嫌いなのは嫌いなんだけど知らないふりして無駄なエネルギー使わないようにしてるんだ。
これとちょっと似てるけど、他人が間違ったことをしててそれ間違ってるよって言ってあげるのが優しさのはずなんだけど、大人になって誰もそれを言わなくなってしまったのも干渉することに疲れてるからじゃないのかな。それとも、本当に言わないことを優しさだと勘違いしてるか。それってもう救えない。


色々共感することはあって、今の自分の反骨精神みたいなものは少年が持つ特権みたいなものだと理解できたのでよかった部分もあるのだけどそこはやっぱり年の功、ホールデン・コールフィールド君より6歳年上なだけあって、昔はぼんやりとしてしか感じてなかったけど理解できたこともある。
それは、世の中にクソッタレなやつが多いのはまぁまぁあってるんだけど、逆に、俺が10000人束になっても敵わないようなすげーやつがそこらへんにウヨウヨしてること。昔は世の中がクソッタレに見えてたから本当はとんでもない凄いやつがいるのだけど、そういうのも一緒くたになってしまって見えなかったんだよね。別に自分が特別と思ってたわけではないのに(若干の期待はあったけど)、今思うと、少し世の中が汚れてるからって全部汚れてるように思ってたことは間違いない。

最後のオチというか、主人公のいる場所がちょっと残念だったな。大人に絡めとられてしまった感じで。


ふと思い出したように読んだけど、読めてよかった。定期的に読み直したい。
この面白さって女性に伝わるのかな。伝わらない気がする。どうなんだろ。

ライ麦畑でつかまえて (白水Uブックス)

ライ麦畑でつかまえて (白水Uブックス)