音質の良い Bluetooth スピーカーを求めて

ここ数日、Bluetooth スピーカーを求めていた。最優先すべきは当然音質であり、そのためなら Bluetooth でなくとも有線で良いのだが、利便性も考えると Bluetooth があれば何かと便利なのではないかということで、Bluetooth スピーカーを買うことにした。


さて何を買うべきか。色々調べてみたところ、不思議なことがあった。「Bluetooth スピーカー」というと、それは実質「Bluetooth ポータブルスピーカー」なのだ。ポータビリティは全く求めてないのだが、価格.com で見るとバッテリーによる駆動時間が表記されていることからもわかるように、据え置きははじめから想定されてないと言って良い。

kakaku.com

これは一体どういう現象なのか。世間には Bluetooth で再生したい、かつ据え置きで良いという人はほとんどいないのだろうか。

ひとまずいくつかの製品にアタリをつけ、ヨドバシに向かった。

まず最初に聞いたのが、Bluetooth スピーカー界では非常に高評価を得ている Bose SoundLink Mini II を聴いた。

はっきり言うが、クソだった。低音の強さを「迫力のある音」として評価されているだけに過ぎないもので、音質としてはクソだ。とにかく高音がまるで出ていない。高音がかすれているとか、透明感が無いとかそういった問題ではなく、高音が出ていないのである。あまりにクソすぎた。低音至上主義で、音楽ではなく迫力を楽しむ頭の悪い連中しか嬉しくないだろう。Bose SoundLink Mini II は、ただ低音がボンボンとなるだけの機器でしかなかった。もっとも、低音に関して言えばこの Bose SoundLink Mini II は確かにサイズ感に見合ってない能力があることは認める。

その後もいくつか視聴してわかったことがある。Bluetooth スピーカー界は低音が過大評価されている。とにもかくにも低音を出すことにどのメーカーも注力しすぎている。あんなものは音を求める人が欲するものではない。迫力を求める人が欲するものなのだ。それから、やはりスピーカーが物理的に小さい以上、音にもコンパクト感を感じずにはいられない。音が空間を満たすという感覚はきっと得られないだろう。

俺は低音は求めていない。モニター系の繊細な音が欲しいのだ。ピアノの高い音階を奏でるときの薄いガラスが割れるような音を美しく聴きたい。弦を弾いたときは、振動音だけでなく、弦のこすれる音も聴きたい。ほんの僅かな吐息まで明瞭に再現し、歌っているスタジオの雰囲気まで思い浮かぶほどの空気感が欲しいのだ。


しばし悩み、非 Bluetooth の通常のスピーカーに Bluetooth レシーバーをつけようかと思い始めた。ちなみにスピーカーには高級機や楽器用でもない限りアンプが一体になっているので、iPhone のパワーが足りないのではというような思案は無用である。友人には Roland の MA-10A というスピーカーのコスパが絶大ということでおすすめされたが、いかんせん入手性が悪く、ディスコンなので現状ヤフオクぐらいでしか入手できない。Bluetooth に限らない通常のスピーカーから選ぶのかとなると、膨大な選択肢になり、そこから選定するのも大変な労力なので、結局 Bluetooth スピーカーを再度検討することにした。

ちなみにその過程で、サウンドバーというホームシアター的な用途に用いられるスピーカーにも Bluetooth 搭載のものが多いことに気づき、いくつか試したが、やはり低音ばかり鳴らすいかにも足立区的な音しかしなかったのですぐ検討項目から除外した。

結果から言えば、SONY の SRS-XB3 という機種を購入した。モニター系の音で言えばやはり SONY が一歩秀でているのではと思う。機種によって大きく異なるとは思うが JBL もなかなか良い線だった。ONKYO は天稟はあるはずなのでもっと頑張れという感想。

公式ページでは重低音を推していて辟易するのだが、高音が一番よく鳴っていたのは本機種である。15W+15W でなかなか高出力であり、音に余裕があった。高音という点では SRS-HG1 も良かったがこちらは 12W+12W で、その分窮屈感があったように思える。SRS-XB3 で満足というわけでは無いがコスパを考えると悪くないだろう。少なくとも Bose SoundLink Mini II のような色付けをするスピーカーよりは何倍もマシだ。とはいえ SRS-XB3 もモニター系ほど繊細な音が出るわけではなく、やはり低音もかなり強調されている。EXTRA BASS という低音を強調する機能があるのだが、それをオフにしてもまだ低音が鳴る。しぶしぶ、iPhone 側のイコライザで低音を抑えるようにしてようやく一息ついた。


さてせっかくなのでここに記しておくが、イヤホンやヘッドホン、スピーカーを買う際の注意点がある。それは、ネット上のレビューは絶対に参考にしてはならない、ということだ。これは絶対である。ネット上のレビューは玉石混交であり、正しい物も中には混じっているものの、玉石を切り分けることはネット上の情報だけでは大変困難である。驚くことに前述の Bose SoundLink Mini II のような低音至上主義のスピーカーにも「高音もよく鳴ります」というようなレビューもあるくらいだ。そんな耳は今すぐちぎって三角コーナーに捨ててもらいたい。ネット上の評価はゴミと一蹴し、自分の耳だけを信じるべきである。それから、音源を持って行って普段聴く音楽を試聴すること。そうしなければ比較はできない。

ちなみに俺はイヤホンは SONY の MDR-EX800ST、ヘッドホンは audio-technica の ATH-A900X を使っている。

SONY INNER EAR MONITOR MDR-EX800ST

SONY INNER EAR MONITOR MDR-EX800ST

音質で言えば MDR-EX800ST 以上のものはほぼ無い。このイヤホンは「生音を鳴らす」というレベルに達している。10万円級のイヤホンとも聴き比べしたが、音の味付けが異なるだけで、音質そのものは差が無いと思う。ATH-A900X は耳全体を包み込んでくれるので使いやすい。重いのが難点であるが、音質は悪くなく、繊細できめ細やかな音が出ている。


ひとまずここ数日で得た結論としては、Bluetooth スピーカーに高音質を求めるのはおそらく間違いだと思う。手間を惜しまないなら非 Bluetooth なスピーカーを選定して、Bluetooth レシーバーを組み合わせるのがおそらくベストだろう。Bluetooth と有線の差は比較してないのでわからないが、いくらなんでもスピーカーの差より大きいということは無いと思われる。手間を惜しんで手軽に行くなら、SONYBluetooth スピーカーを買うのが良いでしょう。