ビューティフルアーキテクチャ
美しさを伝えるのって難しい。
ビューティフルコードのシリーズ第二弾。本書はコードレベルではなくアーキテクチャレベルでの美しさを説いた本である。ただし、抽象度がコードレベルよりずっと上かと言うとそうではなくてコードレベルのほんのちょっと上の程度である。序章で述べているように本書はビューティフルコードの続編と言える。
1章の「アーキテクチャとは何か?」は非常に素晴らしい。アーキテクチャとは何かを作曲・建築とあわせて知ることができる。建築や作曲の設計もアーキテクチャであり、ソフトウェアのアーキテクチャはソフトウェアアーキテクチャとして扱われているため対比がわかりやすく、ソフトウェアアーキテクトに何が求められているかがわかる。すなわち、以下の要素である。
- 機能性
- 変更可能性
- 性能
- 容量
- 環境
- モジュール性
- 構築可能性
- 製造可能性
- セキュリティ
2章以降は具体的な例を元に美しい、または美しくないアーキテクチャについて述べている。洗練されたアーキテクチャのようではあるが、図が少なくいまいち美しさが伝わりづらくなっているのが残念な点。
それでも本書を読んで強く思った。美しさってなんだ?いつどこから湧いてくるんだ?洗練されたアーキテクチャは間違いなく美しいのだけど、何が美しいんだ?
と思ったら弾小飼が書いてた。
それでは、アーキテクチャーにおける美とは一体なんだろうか。
結果、である。
http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51326608.html
ほおー。なるほど。すげえ、言い切っちゃった。まだピンと来ないから理解できてないんだろうな。そもそも同じ本を読んだはずなのにこういう書評を書けるということに絶望的な差を感じる。俺、ちゃんとビューティフルアーキテクチャ読んだっけ?
美しさがどこから出てくるか今までずっと曖昧なままにしてたから、美しいものが作れなかったんだ。ということは多分、美しいものと美しくないものは見分けられるんじゃないかって思ってたけどそれも間違ってるのかも知れない。単に見分けられる程度のものだったのかも。これだけ世の中に人がいるのだから、きっとあちこちにものすごく洗練されたアーキテクチャがあるのだろうけど、気づかないだけのような気がしてきた。
美しさを考える機会にはなるものの、難しく、魅力が1章に集中している。
読めたことが良かったことは間違いないが、ビューティフルコードに比べて少なからず残念な部分がある。
ビューティフルアーキテクチャ (THEORY/IN/PRACTICE)
- 作者: Diomidis Spinellis,Georgios Gousios,久野禎子,久野靖
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2009/11/27
- メディア: 大型本
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