それがぼくには楽しかったから
こういう本は読んでいて気分が明るくなるね、楽しいだけだから。
冒頭を読んだときは戦争とセックスの話で終始してしまうのかとハラハラしたけど。
この本の内容はずばりタイトルの「それがぼくには楽しかったから」の一言で言い表せる。楽しさを追求してたらLinuxができた。実にすばらしい!
その楽しさの過程、つまりLinuxを作ろうと思い、作り始め、少しずつ広まっていくという過程がすげー面白い。
楽しくてやっていたからなのかリーナスの家庭や何かの環境がそうさせたのか色々と要因はあると思うのだけど、Linuxを金の亡者から遠ざけたかったから無料にしたというのはなんとも凄い。無料にすれば欲深い人が近寄らないと思ったって簡単に言うけど実際に実行できるのは凄いとしか言いようがない。
同様に、Linuxに関して金銭的な欲望を払いのけて中立的な立場にいるよう保ったというエピソードが印象に残った。自分の子はお金に変えられない、みたいな感覚なのかな?
全体として、コンピューターを謳歌する楽しさを知ったね。俺も知ってるつもりだけど、俺がコンピューターをやるというのは金銭的なインセンティブが確実に存在するから違う楽しさだね。この金銭的な欲望を抜きにして純粋な楽しさを追求するというのがとても美しかった。なんでこう、いつもいつも混じりっ気なしのものはこんなに美しいんだろ。
昔はお金も何も考えずに「絶対ファイナルファンタジーより凄いゲーム作ってやる」って思ってたのに、いつの間にか簡単に作れて稼げそうなものが作りたいものになってしまった。それでいいや、むしろそっちの方がいいくらいに思ってたのだけどこの本読んで純粋な楽しさを思い出した。お金でも何でもない、ただ「作りたいモノを作る」という根本的な楽しさ。
今コード書いてるのが楽しいことは間違い無いけど、この本の中のリーナスはもっと楽しそうに書いていて羨ましい。
技術的な部分で思ったことは、下回りの層を勉強しないとだめだこりゃと思ったこと。前々から思ってたのだけど、ソフトウェアで表層のほうは使えるけど下のほうになるにつれてなんもできなくなっちゃうんだよね。Cとか全然使えない。これって致命的。
なのでこの本に触発されて、タネンバウム先生の「オペレーティングシステム 設計と実装」でも買ってしまおうかと思ったよ。まぁ下回りと言ってもOSに限らずもっとC勉強したりアセンブラとかソフトウェアが動く仕組みでも勉強すれば良いんじゃないかという気もするので買ってないけど。
以前バイトで、Hibernate使って DWR 経由で ActionScript に Java のオブジェクト渡して画面に表示する仕事してたけど最初は全然下で何が動いてるのかわかんなかった。わからなくてもコードはなんとか書けたからそこは層がうまく分かれてたということで良いのだろうけど、書いてる俺はマジでクソだった。DBのエラー出ても修正できない。誰かに頼むの。こんなの楽しいコーディングって言えない。ライン工場の作業員と同じ。まぁ、今も同じようなものだけど。
とにかくそういう思い出があって表面撫でるだけしかできないのが悔しいという思いがあるわけで、下回りはちゃんと勉強しないといかんね。
Linuxの本ではなくて、コンピューターに触れる楽しさを知ることができた本だった。
- 作者: リーナストーバルズ,デビッドダイヤモンド,風見潤
- 出版社/メーカー: 小学館プロダクション
- 発売日: 2001/05/10
- メディア: 単行本
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